箱舟
今宵も
月の光を浴びて
小さな箱舟を
碧い海へと
漕ぎ出してゆこう
ゆらゆら揺れる
小さな箱舟の中
ただ二人きり
躰を沈めて
その胸に顔を埋めれば
強く抱きしめて
触れる手
なだらかに優しく
でも淫らで明確に
溶かしていく
二人の肌があれば
二人の唇があれば
他には何にも要らない
唇から漏れる言葉には
ため息が似合って
溶けゆく躰は
ぴったりと重なり
混じり合う汗と汗の匂いが
二人の躰に纏わりついた
もっと強く抱きしめて
もう一度抱きしめて
あなたの全てで
壊すくらいに
愛してよ
愛は貪欲
疲れ果てて眠りに就くまで
箱舟は
快楽と言う名の
碧い海を漂い続ける
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